今年もあと数ヶ月です。クリスマスが終わると、何かと慌しくなる年末年始がやってきます。古い行事やしきたりの多い日本において、年末から年始にかけての期間には、「どうしたらいいの?」と迷ってしまう風習やしきたりが特にたくさんあります。そこで今回は知っておきたい年末年始のしきたりやマナーなどをご紹介します。
目次
年末のしきたりとマナー
年末のしきたりの多くは、歳神様をお迎えするためのお清めに関するものです。昔から重要な儀式の前には身を清めるという考えがあるように、年末年始の行事の多くは、歳神様に気分よく滞在していただくための準備として行うものです。
大掃除(すす払い)
年末のしきたりとして広く知られている大掃除は、歳神様をお迎えするための準備として行うものです。新年を迎える前に、家中の煤(すす)や塵(ちり)を払い、歳神様をきれいな空間でお迎えします。かつては12月13日がお正月の準備を始める日とされており、最初に神棚と仏壇を清掃していました。
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正月の飾り付け
正月の飾り付けも年末に済ませておかなければならない行事ですが、12月29日と31日に飾り付けをするのは避けた方が良いとされています。12月29 日は「二重苦」を連想させ、31日は「一夜飾り」と呼ばれ、歳神様をお迎えするのに誠意が欠けていると言われるためです。飾り付けに最もふさわしいとされているのは、末広がりの「八」の字がある12月28日です。この日に飾り付けができれば、余裕を持ってお正月を迎えられるのではないでしょうか。
門松
お正月の飾りの中で最も重要とされているのが「門松」です。歳神様が降りてくるための家の目印になるもので、2つ1組で揃えるようにしましょう。玄関先に飾る場合は、「出飾り」と呼ばれる、三本の竹の二番目に長い竹がくるような向きで飾ります。そして、向かって左側に「雄松」を、右側に「雌松」を飾ります。黒っぽい樹皮と白い葉牡丹のある松が「雄松」、赤っぽい樹皮と赤い葉牡丹のある松が「雌松」です。12月13日〜28日までに飾るのがマナーとされています。
しめ飾り
自宅に飾るしめ飾りには、その場所が神聖な場所であるという意味と、悪いものを寄せつけないという2つの意味があります。これは天照大神の神話が由来とされています。ある日、太陽の神様である天照大神が天の岩屋に隠れてしまい、世の中が真っ暗になって作物が育たなくなってしまいました。なんとか天照大神を岩屋から連れ出すことに成功した他の神様たちは、二度と岩屋に隠れることのないように縄を張り巡らせました。これが「しめ縄」の起源といわれています。門松同様、12月13日〜28日までに飾るのがマナーとされています。
鏡餅
鏡餅は歳神様の拠り所とされており、魂が宿るとされています。三方(さんぽう)と呼ばれるお供え用の台に、白い奉書紙を敷き、紙垂(しで)、裏白(うらじろ)、譲り葉(ゆずりは)の上に鏡餅をのせます。昆布や橙などを飾ります。奉書紙の代わりに、四方紅と呼ばれる四方が紅く彩られた和紙を敷くこともあります。地域や家によって飾り方はさまざまで、串柿、勝栗、黒豆、するめ、伊勢海老といった縁起物を飾るところもあります。鏡餅も12月13日〜28日までに飾るのがマナーとされています。
大晦日
大晦日の夜の風物詩でもある除夜の鐘は108回鳴り響きます。これは人々の中にある108の煩悩を絶つために行う儀式です。大晦日の行事は、平安時代の頃から行われていたと考えられており、豊作をもたらす「歳神様」を祀るための準備でもあります。各家を訪れる歳神様を迎えるために、大晦日から家にこもって夜通し祈願する「年篭り」という風習があり、これが大晦日の由来といわれています。
年越し蕎麦
年越しそばの起源には諸説ありますが、そばが長く伸ばし細く切って作る食べ物であることから、「健康長寿」や「家運長命」などの縁起をかついで食べるようになったという説が一般的です。“年越し”という名前がついていますが、新年のための願掛けなので、年をまたいで食べるのではなく、年内に食べきるようにしてください。
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年始のしきたりとマナー
年始のしきたりにも、歳神様をお迎えして感謝やお祈りをするものが数多くあります。
初日の出
元旦の朝に昇ってくる太陽を拝み一年の幸福を祈るのが「初日の出」です。歳神様は初日の出とともに降臨するとされています。高い山から拝む太陽は「ご来光」と呼ばれ人気ですが、現在のような形は明治時代になってから。それ以前は、歳神様を迎えるため家で拝むのが通例でした。
初詣
初詣は、神社、お寺のどちらに詣でても良いとされていますが、氏神(地域の守り神)や菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)に詣でるのが基本といわれています。しかし本来の意味は、歳神様がいる方向「恵方」にあたる寺社に詣でるものとされています。これは、歳神様は毎年異なる方位からやってくると考えられていたためです。昔は、一家の長が大晦日の夜に神社に出かけて寝ずに新年を迎える、という慣習がありましたが、今は、元日から3日までの「三が日」もしくは7日までの「松の内」の間に詣でるのが一般的です。時間帯にも特に決まりはありませんが、年の初めに詣でると「めでたさ」が倍増するといわれています。服装の決まりもありませんが、神様や仏様への挨拶でもあるので、カジュアルすぎる服装は避けたほうが良いでしょう。
<参拝の仕方:神社の場合>
・鳥居をくぐる前に一礼します。
・参道は中央を歩かずに端を歩きます。
・手水舎に向かい、ひしゃくに水を注いでお浄めをします。
・拝殿に向かい、鈴を鳴らします。
・お賽銭を入れます。
・「二礼、二拍手、一礼」の順番で参拝をします。
・参拝が終わったら、鳥居をくぐり、振り返って会釈をして退きます。
<参拝の仕方:お寺の場合>
・山門をくぐる前に一礼します。
・手水舎に向かい、ひしゃくに水を注いでお浄めをします。
・常香炉がある場合は、煙を浴びて身を浄めます。
・本堂に進んだら、一礼をしてお賽銭を入れます。
・鈴を鳴らし、胸の前で静かに両手を合わせて合掌します。
・お祈りが終わったら、手を合わせたまま深くお辞儀をします。
・参拝が終わったら、会釈をして退きます。
七草粥
七草粥とは、春の七草を入れたお粥を食べることで新年の無病息災を願う風習です。春の七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロが一般的ですが、地域によって異なる場合もあります。七草粥の起源は中国にあるといわれています。中国では毎年1月7 日に官吏の昇進を決めることから、その日の朝に若菜を食べて立身出世を願ったのが起源とされています。日本では江戸時代の頃から一般的に定着しました。七草粥は7日の朝に歳神様へお供えし、歳神様の前で家族そろって食べます。また一説では、お正月の豪華な食事で疲れた胃腸を休めて、冬に不足しがちな栄養を摂取するために食べるようになったともいわれています。ちなみに、7 種類すべてを食べなくてもいいそうです。
鏡開き
鏡開きは、歳神様の魂が宿ったお餅を1月11日に行われる「鏡開き」でいただくことで、歳神様の運気や力を与えてもらい、新年の無病息災を願います。今は手軽に食べられる個包装のお餅をパックした鏡餅もありますが、本来は木槌で叩いて細かくして食べるのが伝統的な食べ方です。包丁は切腹を連想させるため縁起が良くないとされているので使わないようにしましょう。
書き初め
新年の抱負や目標をしたためる書き初めは、事始めにあたる1月2日に行われるのが一般的です。もともとは、平安時代の宮中行事であった「吉書初め」が由来とされており、元旦に汲んだ水ですった墨を使って、歳神様がいる方向(恵方)に向かって、祝賀や詩歌を書いていました。
初夢
「初夢」とは、新しい年を迎え、最初に寝た日の夜に見る夢のことです。元旦から2日にかけて見た夢とする説が一般的です。新年の縁起物の1つと考えられており、「一富士二鷹三茄子」の夢は特に縁起がいい、とされています。
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いかがでしたでしょうか。季節ごとにさまざまな行事がある日本の中でも、特に年末年始は、日本ならではのしきたりや風習が多い特別な時期です。地域によって異なるものもあるので、今回ご紹介したしきたりや風習をすべて実行するのは、なかなか難しいことだと思います。しかし、行事の意味や正しいマナーを知っておくだけでも生活にプラスになるはずです。神様や礼節といった、日本の伝統的な文化に想いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか。ぜひ素敵な年末年始をお過ごしください。
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